哀惜・岸井成格さん

あなたの病態進捗は正直、認めたくなかった。
思い返せば、一昔前。
外景が季節で移ろう赤坂見附の弁慶橋を重い足取りで渡り、筑紫哲也さんの「お別れ会」場内に赴き、たまたま隣り合わせた立花隆さんと並び献花させていただく傍らに、あなたと佐高信さんの「慶應ボーイ」同期コンビが視野をかすめた。
夢想だによらぬ闘病を支え続けた筑紫房子夫人に初めてご挨拶するのが叶ったので、やや足早に帰路の地下鉄駅へ向かっている。
ただそれだけの断片的な数コマが、あなたの訃報を伝えるネットからピンポイントで浮かんでは消えていく。
まったく突然、夫人ともどもの来札当日夕刻前に電話で誘われるも、外せない先約で断った一夜にも悔いが残る。
「ウチのが込みの札幌夕食なのに、残念!」が改めて耳朶を揺すり沁む、未明ではあった。

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